相続人が複数いる場合、亡くなった方の財産を誰がどのように相続するのかを、相続人同士で話し合って決めることがあります。これが遺産分割協議です。
話し合った内容を書面にしたものが「遺産分割協議書」で、不動産の相続登記や預貯金の解約・払戻など、その後の相続手続きで使用することになります。
遺産分割協議書には決まった用紙があるわけではありませんが、相続財産の内容や誰が何を取得するのかが正しく特定できていないと、金融機関や法務局での手続きに使えないことがあります。
インターネット上にもひな形はたくさんあります。ただ、相続の内容はそれぞれ違いますので、ひな形に財産を書き込めば必ず大丈夫というものでもありません。
行政書士は、相続人間で話し合いがまとまっている場合、その合意内容に基づいて遺産分割協議書を作成することができます。日本行政書士会連合会でも、遺産分割協議書を「権利義務に関する書類」として行政書士が作成できる書類の一つに挙げています。

そもそも遺産分割協議書はなぜ必要なのか

遺産分割協議そのものは、必ず書面で行わなければならないわけではありません。
ただ、相続人同士で「誰がどの財産を相続するのか」が決まっていても、口頭で話しただけでは、その内容を銀行や法務局など第三者に示すことができません。
例えば、亡くなった父名義の自宅について「長男が相続する」と相続人全員で決めた場合、その内容に基づいて相続登記をするには、通常は遺産分割協議書など、誰が不動産を取得するのか確認できる書類が必要になります。法務局も、遺産分割による相続登記では遺産分割協議書を作成することを案内しています。
預貯金についても同じで、相続人のうち誰がその口座を取得するのかを決めた場合、金融機関から遺産分割協議書等の提出を求められることがあります。
遺産分割協議書には、「相続人同士でどのような話し合いをして、最終的にどう決めたのか」を残しておく意味もあります。財産の名義変更を終えた後になって話が食い違わないよう、合意した内容をきちんと書面にしておくことは大切です。

遺産分割協議は相続人全員で行います

遺産分割協議をする前に確認しておきたいのが、相続人です。
例えば、配偶者と子ども2人が相続人だと思って協議を進めていたところ、戸籍を確認すると、ほかにも相続人がいることが分かったという場合、その人を除いたまま遺産分割を進めることはできません。
遺産分割は相続人全員で行う必要があるため、協議書を作る前に戸籍等を確認し、誰が相続人になるのかを確定させておく必要があります。裁判所の遺産分割手続でも、相続人全員の参加が必要とされています。
当事務所では、遺産分割協議書だけをいきなり作るのではなく、必要に応じて戸籍を確認し、相続関係を整理したうえで作成を進めます。

遺産分割協議書には何を書くのか

遺産分割協議書では、主に「誰が、どの財産を取得するのか」を明確にします。
例えば預貯金であれば、銀行名や支店名、口座の種類などを確認し、不動産であれば登記事項証明書などを見ながら、どの不動産を誰が取得するのか分かるように記載します。
株式や自動車などがある場合も、それぞれの財産を特定できる形にしておかなければなりません。
ここで意外と多いのが、財産の呼び方が曖昧なケースです。
相続人同士では「あの家」「○○銀行のお金」で話が通じても、遺産分割協議書では、それだけでは十分ではありません。第三者が見ても、どの財産について合意したのか分かるように記載する必要があります。
また、財産を売却して代金を分ける「換価分割」や、一人が不動産を取得する代わりにほかの相続人へ金銭を支払う「代償分割」を行う場合には、その内容に合わせて協議書を作る必要があります。

行政書士に依頼できること

行政書士に依頼できるのは、単にパソコンで遺産分割協議書を清書することだけではありません。
相続関係や財産の内容を確認し、相続人全員で合意した内容を、実際の相続手続きで使用できる形に整理して書面にしていきます。
当事務所では、ご事情に応じて、

  • 相続人を確認するための戸籍等の収集
  • 相続関係説明図の作成
  • 法定相続情報一覧図の作成・申出
  • 相続財産の整理
  • 財産目録の作成
  • 合意内容に基づく遺産分割協議書の作成
  • 預貯金の相続手続き
    などをお手伝いしています。


    すべてをまとめて依頼していただく必要はありません。
    戸籍はすでに集めているので遺産分割協議書だけ作ってほしい、相続人同士の話し合いは終わっているので書面にまとめてほしい、といったご依頼にも対応しています。
    反対に、まだ相続人がはっきりしていない場合や、どの財産が相続の対象になるのか整理できていない場合には、先にそこを確認してから協議書の作成に進む方が安全です。

※ご注意 行政書士が相続人の代わりに争いをまとめることはできません

ここは少し注意が必要なのですが、行政書士が遺産分割協議書を作成できるのは、基本的には相続人同士で話し合いがまとまっている場合です。
例えば、
「長男がもっとたくさん相続したいと言っている」
「生前贈与があったので兄の相続分を減らしてほしい」
「この不動産が本当に遺産なのかでもめている」
「他の相続人と話をして自分に有利な条件でまとめてほしい」
というように、行政書士が一方の相続人の代理人として交渉することはできません。
また、相続人間で争いが生じている場合も行政書士ではお手伝いできません。
話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停などを利用することになり、必要に応じて弁護士へ相談することになります。裁判所も、相続人間の協議がまとまらない場合には遺産分割調停・審判の手続を利用できると案内しています。
一方で、「相続人全員で分け方は決まっているが、どう書面にすればいいか分からない」という段階であれば、行政書士がお手伝いできる部分です。

不動産がある場合は相続登記も必要です

遺産分割協議書を作成して不動産を取得する人が決まったとしても、それだけで不動産の名義が変わるわけではありません。
不動産については、その後に法務局で相続登記をする必要があります。
相続登記の申請を専門家へ依頼する場合は司法書士の業務になりますので、当事務所で遺産分割協議書を作成し、不動産の相続登記が必要な場合には司法書士へつなぐ形で進めることもできます。
つまり、遺産分割協議書の作成と相続登記は別の手続きです。
「行政書士に協議書を作ってもらえば不動産の名義変更まで全部終わる」というわけではありませんので、この点は最初に確認しておいた方が分かりやすいと思います。

遺産分割協議書だけのご依頼にも対応しています

相続手続きは、ご家庭によって進み具合がかなり違います。
すでに相続人全員で話し合いが終わっている場合もあれば、戸籍は集めたものの、その先をどう進めればよいのか分からない場合もあります。
当事務所では、最初から相続手続き一式を依頼していただく必要はありません。
「戸籍は自分たちで集めた」
「財産も把握している」
「誰が何を相続するかも決まっている」
という場合であれば、その内容を確認して遺産分割協議書の作成だけをご依頼いただくこともできます。
一方で、まだ相続人の確認が終わっていない、預貯金や不動産など財産の整理も必要という場合には、戸籍収集や相続関係の整理から進めることも可能です。

富田林市・河内長野市を中心に遺産分割協議書の作成をお手伝いしています

行政書士おとだ法務事務所では、富田林市・河内長野市を中心に、相続手続きや遺産分割協議書の作成についてご相談をお受けしています。
遺産分割の内容はすでに決まっているが書面の作り方が分からない、銀行や相続登記で使うための協議書を作りたい、戸籍収集からまとめてお願いしたいなど、現在どこまで手続きが進んでいるのかによって必要な作業は変わります。
すでにお手元に戸籍、固定資産税の納税通知書、預金通帳、登記事項証明書などの資料がある場合は、それらを確認しながら進めることができます。
まず現在の相続関係と財産の状況、相続人間でどこまで話が決まっているのかを確認し、そのうえで遺産分割協議書の作成が必要か、ほかに先に
確認しておくことがあるのかを整理していきます。