河内長野市で親の家を相続したら|遺産分割を決める前に確認したいこと

相続の相談というと、戸籍を集めたり、遺産分割協議書を作ったり、銀行の手続きをしたりという話が中心になりがちです。
もちろん、それらも必要です。
ただ、河内長野市で相続を考えるとき、私がそれ以上に気になるのが「親が住んでいた家や土地を、この先どうするのか」ということです。
誰が相続するのかを先に決めてしまい、その後になって、
「この家、誰も住まないな」
「売ろうと思ったけれど、思っていたようにはいかない」
「兄弟3人の共有にしたけれど、これでよかったのかな」
という話になることがあります。
不動産がある相続では、遺産分割協議書を作る前に、その不動産がどんな物件なのかを一度確認しておいた方がいい場合があります。

河内長野市には、親世代が購入した住宅団地が多い

河内長野市は、昭和40年代以降、大阪のベッドタウンとして住宅地が大きく広がったまちです。
千代田台、貴望ケ丘、青葉台、南花台、清見台、美加の台など、市内各地で住宅団地が開発されてきました。
当時、働き盛りだった世代が土地や一戸建てを購入し、そこで子育てをして、その子どもたちは就職や結婚を機に市外へ出ていく。
今、その親世代から子世代へ家を引き継ぐ時期に入っています。
河内長野市でも、昭和40年代から50年代に開発された住宅団地を中心に、所有者の高齢化や子世代の市外転出などを背景として、空き家や空き地の増加が課題になっています。
ここが、河内長野市の相続を考えるうえで無視できないところです。
相続人は大阪市内や堺市、あるいは大阪府外に家を持っていて、河内長野の実家へ戻る予定がない。それでも相続では、誰かがその家を引き継ぐことになります。

「とりあえず兄弟で共有」は、その後まで考えてから

例えば、父親が亡くなり、子ども3人が実家を相続することになったとします。
「3人とも同じ相続人なのだから、3分の1ずつにしておけば公平だろう」
一見すると分かりやすい分け方です。
ただ、その家に誰も住まないのであれば、その先も考えておきたいところです。
数年後に売却することになれば、共有不動産全体の売却には原則として共有者全員の同意が必要になります。その間に共有者の一人が亡くなれば、その持分についてさらに相続が発生することもあります。
「今は売らない」という判断と、「誰が相続するか」という判断は、本来別の話です。
今すぐ売却する予定がなくても、5年後、10年後にその家をどうする可能性があるのか。そこまで考えてから名義を決めても遅くありません。
不動産の相続では、単純に法定相続分で分ければよいとは限らない理由の一つです。

古い家なら「土地として売ればいい」とも限らない

築年数が経った実家について、「建物にはもう値段が付かないから、最後は土地として売ればいい」と考えることがあります。
実際、そのような売却になる物件もあります。
ただ、土地であれば何でも同じように売れるわけではありません。
前面道路はどうなっているのか。
敷地と道路に高低差はないか。
古い擁壁が残っていないか。
再建築するときに問題になる条件はないか。
建築協定や地区計画はないか。
こうした条件によって、同じ広さの土地でも扱いやすさはかなり変わります。
相続税評価額や固定資産税評価額だけを見て、「この土地にはこれくらいの価値があるだろう」と考えてしまうのは少し危険です。
相続人の間で不動産の分け方を決めるのであれば、その土地が実際にはどういう土地なのかも見ておいた方が話はしやすくなります。

河内長野市では「市街化調整区域かどうか」も確認しておきたい

河内長野市内の不動産を見るとき、もう一つ確認しておきたいのが都市計画区域です。
市内には市街化区域だけでなく、市街化調整区域もあります。
市街化調整区域は、市街化を抑制する区域ですので、建築や開発について市街化区域とは扱いが違います。
さらに河内長野市には、緑ケ丘、旭ケ丘、南ケ丘など、市街化調整区域でありながら用途地域が定められている住宅地もあります。
ですから、「今、家が建っているから建て替えも普通にできるだろう」と最初から決めつけない方がよい物件もあります。
もちろん、市街化調整区域だから売れない、建て替えられないという意味ではありません。
大事なのは、相続人の間で今後の方針を決める前に、その土地の条件を確認しておくことです。

坂の多い河内長野市では、擁壁や高低差も無視できない

河内長野市は平坦な住宅地ばかりではありません。
住宅地の中でも道路と敷地に高低差があったり、敷地の周囲に擁壁が造られていたりする物件があります。
普段そこに住んでいる間は、あまり意識することがないかもしれません。
ところが、建て替えや売却という話になると、その擁壁がいつ造られたのか、どのような状態なのかが問題になることがあります。
また、市内には土砂災害警戒区域などに指定されている場所もあります。
これも「危険だから売れない」という話ではありません。
相続した不動産について考えるなら、登記簿の面積や固定資産税評価額だけではなく、現地そのものを見る必要があるということです。

実家と一緒に「田」「畑」を相続することもある

河内長野市の相続では、もう一つ確認しておきたいことがあります。
自宅だけではなく、少し離れたところに田や畑を所有しているケースです。
ご家族からすると、「父が昔から持っていた土地」くらいの認識しかなく、地番を聞いても場所がはっきり分からないことがあります。
ところが、登記を確認すると地目が「田」「畑」になっている。
農地については宅地と同じようには扱えません。
相続によって農地を取得すること自体に農地法3条の許可は必要ありませんが、相続後は農業委員会への届出が必要です。
その後、農地のまま売ったり貸したりする場合には農地法3条、農地以外の用途に変更する場合には農地転用の手続きが関係してきます。
ここで困るのが、相続人自身は農業をする予定がない場合です。
「使わないなら売ればいい」と思っても、農地は宅地と同じ感覚では処分できません。
実家の相続と一緒に農地が出てきた場合は、後回しにせず、どこにある土地なのか、現在誰が耕作しているのか、農地としてどういう扱いになっているのかまで確認しておきたいところです。

「山林が一筆ある」も、そのままにしない

河内長野市では、山林を相続することもあります。
固定資産税がそれほど高くない土地であれば、相続人からすると優先順位はどうしても下がります。
「山だから、そのままでいいだろう」となりやすいところです。
ただ、場所が分からない土地をそのまま次の世代へ渡してしまうと、次の相続ではもっと分からなくなります。
登記簿には地番が載っていても、現地でどこなのか分からない。
境界も分からない。
誰が管理しているのかも分からない。
こうなると、いざ処分しようと思ったときに調査から始めなければなりません。
また、相続したものの利用する予定がなく、売却なども難しい土地については、「相続土地国庫帰属制度」という選択肢もあります。一定の要件を満たした土地について、審査を経たうえで国に引き渡すことができる制度です。
ただし、どのような山林でも国が引き取ってくれるわけではありません。境界が明らかでない土地や、管理に大きな費用や手間がかかる土地などは対象にならない場合があり、承認された場合にも負担金が必要です。
そのため、「使わない山林だから国に返せばいい」と簡単に考えるのではなく、売却や隣接地所有者への譲渡なども含めて、どの方法が現実的なのかを確認した方がよいでしょう。
価値が高いか低いかとは別に、「何を相続したのか」「今後どうするのか」は今の世代で整理しておいた方がよいと思います。

空き家を売却するなら、時期によって税金が変わることもある

相続した実家を誰も使わないことになり、最終的に売却を選ぶケースもあります。
このときは「いつ売っても同じ」とは限りません。
一定の要件を満たした被相続人の居住用家屋を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる、いわゆる「相続空き家の3,000万円特別控除」があります。
この制度には、建物の築年数や利用状況、売却時期などいくつもの条件があります。
そのため、「しばらく置いておいて、いつか売ればいい」と考えていた結果、使えたはずの制度が使えなくなることは避けたいところです。
税金について最終的な判断が必要な場合は税理士への確認が必要ですが、売却する可能性があるのであれば、早い段階で制度の有無だけでも確認しておく価値はあります。

遺産分割協議書を作る前に、不動産を一度調べてみる

私は、不動産が含まれる相続であれば、いきなり「誰が何を相続しますか」と話を始めるより、先にその不動産を確認した方がよいケースがあると考えています。
登記上の所有者は誰なのか。
土地は何筆あるのか。
自宅以外の土地はないのか。
市街化区域なのか、市街化調整区域なのか。
農地は含まれていないか。
誰かが住む予定はあるのか。
今後、売却する可能性はあるのか。
これだけでも、遺産の分け方を考える材料はかなり増えます。
相続手続きでは「書類を作ること」が目的になりがちですが、本来はその後のことまで考えて内容を決めるものだと思います。

河内長野市で相続手続きをするときの主な窓口

相続では、手続きの内容によって窓口が変わります。
戸籍などは市役所、不動産の相続登記は法務局、農地を相続した場合は農業委員会と、それぞれ別の手続きになります。
河内長野市で相続があった際に関係する主な窓口をまとめておきます。

河内長野市役所

所在地
〒586-8501
河内長野市原町1丁目1番1号
電話
0721-53-1111(代表)

窓口受付時間
午前9時~午後4時30分
戸籍や住民票などの取得をはじめ、国民健康保険、介護保険など、亡くなられた後に必要となる行政手続きを行います。
河内長野市では「ご遺族サポート窓口」も設けられています。死亡後に市役所内で必要となる手続きをまとめて確認したい場合には、利用しておくとよいでしょう。

大阪法務局 富田林支局

河内長野市にある土地・建物の不動産登記は、大阪法務局富田林支局の管轄です。
所在地
〒584-0036
富田林市甲田一丁目7番2号

電話
0721-23-2432
土地や建物を相続した場合の相続登記や、法定相続情報証明制度などについては法務局が窓口になります。
なお、相続登記の申請代理は司法書士の業務です。当事務所へ相続手続きのご依頼をいただき、相続登記も必要になる場合には、司法書士と連携して進めます。

河内長野市農業委員会

相続財産の中に田や畑などの農地が含まれている場合には、農業委員会への届出が必要になることがあります。
所在地
〒586-8501
河内長野市原町1丁目1番1号
河内長野市役所内

電話
0721-53-1111(代表)
相続によって農地を取得する場合、農地法3条の許可は必要ありませんが、農業委員会への届出が必要です。
また、その後に農地を売却したり貸したりする場合や、宅地・駐車場など農地以外の用途へ変更する場合には、別途、農地法上の手続きが必要になることがあります。
特に自宅とは別に田や畑を所有していた場合、相続人がその存在を詳しく把握していないこともあります。
相続財産を確認するときは、固定資産税の納税通知書なども確認し、自宅以外の土地がないか見ておくとよいでしょう。

河内長野市の相続だからこそ、不動産まで一緒に考えます

行政書士おとだ法務事務所では、戸籍収集や相続人調査、財産目録、遺産分割協議書、預貯金の相続手続きなどをお手伝いしています。
ただ、不動産がある相続については、書類だけを見て終わりにはしたくないと考えています。
その家に今後誰かが住むのか。
残しておくのか。
貸すという選択肢があるのか。
いずれ処分する可能性があるのか。
土地そのものに何か確認しておく点はないのか。
売却ありきで考える必要はありません。
むしろ、売る・売らないを決める前に、その不動産について一度きちんと把握する。そこから相続の分け方を考える方が自然です。
相続登記が必要な場合は司法書士、相続税や譲渡所得など税務上の判断が必要な場合は税理士と連携します。
「親の家を相続することになったけれど、その後どうするのかまでは決めていない」
そんな段階からでもご相談ください。
手続きだけを先に進めるのではなく、まず何を確認しておいた方がよいのか、一緒に整理します。